夏目義徳作 咎狩 白を読んだので感想ですよ。( ・ิω・ิ)

 
<オススメ度>→かなり人による。話、絵、主張。全てクセが強い。購買にはかなりの注意が必要。
 前作が好きな人にはマストバイなのでは。


<初めに>
 本作は「一巻」ながら咎狩と言う未完の作品の続編であり、新刊ですね。自分は前作は未読だったりします。
 作品自体は前作未読の方でも読めるように設計してあります。もちろん分からない事もありますが、特に問題なく読み進めていけると思います。


<あらすじ>
 その悪行によって打ち首になり、地獄に300年とらわれていた罪人「統兵衛」しかし、反省や悔いる事もなく、脱走を試み続けていた。
 そんな統兵衛は、地獄の管理人(?)エマより一つの提案がなされる。
 人の罪や悪念を食らう刀『咎狩』を用いて現世において108日で108の罪を狩る事を命じられる。これに成功すれば地獄での刑期が終わり、転成する事ができる。しかし、現世で罪を犯せば死、咎狩に取り込まれても死、そして、咎との戦いの中で死ぬ事もあり得る。現世で死ねばより苦しい地獄に堕ちる事になる。
 統兵衛はこの提案を受け入れ、現世におりる。現世で人々とふれあいつつ、罪を狩り続けた




−ここまでが前作(らしい)−
 そして残すは1日。狩るべきは、あとたった一つの罪。
 残りあと1つの罪となれば、もう統兵衛の解放は目前。地獄と対をなす天界の人々は焦り始める。『解放された人間がいるというのは地獄の人間に希望を与えてしまうのではないか?』『咎を狩り続けた刀はかなりの力を溜めている。この刀が地獄に帰れば地獄と天国のパワーバランスが崩れてしまうのではないのか?』『そもそも地上は罪にまみれすぎている』
 
 天界の人々は様々な画策をし始める・・・



<感想>
 こゆい。濃いですね。絵や話、全てに作者の独自の価値観が反映されてる。
 しかし、極端と言ってもいい。本作の中に流れる主張は反論を許さない(ように感じる。)だから、読んだ人によって、
 『これを言って欲しかったんだ!』
 『これはどうなの?』
 の二つにハッキリ分かれる。(じつはワタクシは後者でして・・・)
<前作のファンへ>
 前作からの展開を、引き継いでいるようで引き継いでいないのでは?私はファンのサイトを巡回して見ただけなので、前作のファンの方がどういう所に期待してらっしゃるか私には分かりましぇん。が、とりあえずバレを箇条書きで。

・主人公の過去(江戸時代)には触れられていない。
・人間らしさを取り戻すと弱くなる、という葛藤には特に言及されてないです。
・前作の終わり〜107の罪を集めるまでの過程は全カット

 とりあえず、買う際はご注意ください。




<思う事>
 あらすじを読んだとき、てっきり『異端や悪を認めろ』と言う話かと思いましたが、本を開いたら、そこには正義の再定義と肯定があって、ちょっと残念な気持ちになりました。
 主人公と、彼が狩る悪人が完璧に区別されているのが気になりましたね。
 咎にとりつかれた人々は「狂気」の中にある人々で、主人公や「天使」や「白い闇」よりも、一段下の悪として定義されてる。嫉妬や欲望に狂ってる人々。作者の狂気に対する軽蔑と軽視を感じる。「どうせ、こういう人達は、幸せな人達がうらやましいだけなんでしょ?」
 『悪い事をさせても、主人公はすごい!』と言う感じ。それはどうなの?結局マイノリティからさらなるマイノリティを産んでるだけなんじゃ・・・


泥塗るようなマネして申し訳ないです。
もさっり終わる( ・ิω・ิ)