宇宙ショーへようこそ を見たので感想ですよ。
宇宙ショーへようこそ 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: アニプレックス
- 発売日: 2011/02/09
- メディア: Blu-ray
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異様に長くなってしまった。それも愛ゆえ。完璧なネタバレはしないよう努力しましました。努力したんです。
<寸評>
子供たちを応援したくなる、ワクワクドキドキする映画。
「映画・ドラえもん」のような児童SFが下書きとしてあるんじゃないかな?(作った側は意識してなんだろうがミヒャエル・エンデの匂いもする。)
日本アニメ映画で「芸術作品」と呼ばれている作品の多くは、児童SFアニメからは距離をとった作品が多かった気がする。本作は『宇宙』『ひと夏の思い出』『異世界の危機』『友情』といった、映画ドラえもん的要素を、完全に引き継ぎ、それを現代という文脈で読み直す。ってな感じの作品だ(と思う)。
夢のような世界を、元気な主人公たちと体験する。純粋にドキドキワクワクする作品だ。子どもだけじゃなく、大人こそ見るべき児童SFとでもいいましょうか。
とにかく面白いのでおすすめ。
あと、映画館で映画を観る楽しさを、この作品をきっかけに思い出した。ぜひこの臨場感を映画館で楽しんだほうがいい!現実をあっさり思い出しちゃうような日用品が転がってるリビングなんかで見ても、この映画の良さは味わえない予感。
<良かったところ・悪かったところ>
○良かったところ
・映像&造形
映像と造形が特に素晴らしい!出てくる宇宙人や建物のデザインと造形、そしてそれらの動かし方がほんとうに素晴らしい!アホほど素晴らしいデザインのモブが出てくる。映画を見終わったあと、現実がめちゃめちゃ地味に見える。
ジブリといかいう人いるんだろうが、ワタクシの中ではジブリなぞ完全に圧倒してる。
・アクションシーン
最高!
オープニングからアクションシーンなのだが、オープニングから一気に血が沸くほどのカッコいいアクションシーンを見せつけられる。『爆発』や、『強そうな武器』『モンスター』といった要素はモチロンのこと、そういった派手さのない泥臭いアクションシーンも見所。絵作りの凄さを見せつけられる。
・世界観&設定
月の裏は宇宙人の基地になってるらしい、とか、ミステリーサークルって宇宙人が降りた跡なんだって、といった噂を、大人になって信じられなくなってしまった。しかし、あの頃噂を信じていた熱い気持ちを思い出させてくれるような話。
本作の宇宙はまさしくユートピアだ。上の繰り返しになってしまうが、小道具からモブまで楽しそうなのだ。大人でも、もう一度夢を見られる。(楽しそう、というのは、あらゆる生活用品がその実用性を超えて、楽しそう。ということ)
子供じゃなくても、この世界は住みたい。
・キャラクター
主人公たちはみんな元気でイキイキキラキラしてる。(ちょっと目が眩んでしまった。もう素直な気持ちで作品を見れなくなってしまった自分に気づいたね。)
成長していくキャラクターが描かれている。
さらに、キャラクターと同年代と思われる子役たちの熱演も見所だ。
○悪かったところ(以下、個人的な感想から逃れられませんでした。ここは好みの問題。悪いところ言うより、不満)
・ストーリー
確かに面白いストーリーだと思うが、展開を遅くすべきなんじゃないか?と思うところは早く。早くしてもいいんじゃないか?というところは遅い
前半の日常パートについては、やはりテンポが遅すぎる。前半は忍耐が必要かもしれない
ただ、ラストに進むにつれ、完成されていき『遅さ』にも意味があったことに気付かされる。
『ヒーローとは何か?』『ヒーローと弱者の関係』といった問題ついて、生命倫理と絡めて問い直す姿勢や、それについて、答えの出し方は素晴らしい。前半の忍耐は後半に報われる、はず。
しかし、やはり膨らましすぎて、風呂敷をたたみかねた感はいなめない。後半部分に関わる前半部分だけ膨らまして欲しかった。(というか、そうなるのが狙いだった気もする)
さらにいえば、舛成さんらしい(?)説明のなさは健在。それは、ワタクシも良いとはもうし、大人なら鑑賞に問題はないが、子供は雰囲気を楽しむしかないんじゃ・・
・キャラクター
良いといったキャラクターだったが、ちょっと、キャラの多さを持て余していたかんがありますね。途中で参入したキャラが、既存キャラを押しのけたり、主題自体がぼやけ気味だったり。(少年・少女たちの成長 以上の主題はそもそも設定されてなかったのかもしれない。)
・特に個人的な不平(単体では意味が分からないので見た人向けかも)
↓致命的なバレあり
ワタクシには、主人公たちが「ちょっとした力」を手に入れる点と「その力の手に入れ方」が引っかかってしまってしょうがない。こうした庶民的なヒーローが力を手にする事に疑問を感じるのは好みの問題かもしれないが、手に入れ方がベタ過ぎるのはどうかと思う。これは、有名なとあるアニメの映画でも用いられた設定だし、それに気づく気づき方もストレートすぎる。もっと芝居がかった気づき方があるはず。
でも、まとめると面白いよ!ホントに。(悪いところを語って終わるってのはどうかね)
DVD・BD版はカットされたシーンも足されて、さらに完成された一作になる気がする。
<おまけ>-2回見に行くとどうなるのか?-
同じ映画を二回観に行ったのは生まれて初めてだよ!
本作は序盤、『これがあとからどう効いてくるのか』『これからどういう話が展開していくのか』見えにくい。また、横断的なテーマも見えづらい。序盤の展開をまとめ上げる終盤は文句なく面白い。ただそれまで集中力が持つかどうか。それが、ワタクシから本作の見たネックだった。
2回見ると、あるシーンと全体とがどのように連結するかが確認できてより見やすかった。さらに、二回目見ると色々発見がある。ていうか、全然飽きないよ!美術の全体はまだ把握しきれてない!ピョン吉も一匹も見つけられなかった。
あと、自分でびっくりしたのですが、一回目見たとき全く泣かなかったのですが、二回目見たらとあるシーンでボロボロ泣いちゃった!一回目見たとき客観的に見てたのが、二回目になったらボロ泣き。私の中で何が起こったのでしょう?
たぶん、DVD大好き倉田さんとしては、何度見ても面白いものを志向しているのでしょう、そして、その点では大成功かと。
<おまけ2>--コラム「自分のことは自分でやろう・ひとりはみんなのためにみんなはひとりのために」--
これは、教室の黒板の上に掲げられたスローガンなのだが、これが本作では重要なセクションで使われる。
このスローガンがいいのは、そもそも誰が言ったかわからないところだ。だから、これは個人崇拝から逃れているし、他の規範からも離れて自由であり、問自体をなんども問い直すことができる。
ところで、『自分のことは自分でやろう』は個人主義。『ひとりはみんなのためにみんなはひとりのために』は集団主義的だ。文章の前後がうまく咬み合っていない。
では、これがどう結合し、ここから主人公たちがどのような意義を見出すのか?それが本作の素晴らしいところだ。見てない方はぜひ見ていただきたい。
<おまけ3>
登場キャラの鈴木周 は、だいぶ『ガチロリ』の方に愛されるキャラと思われる。
スタッフの愛を感じるカットを、私は幾度も目撃した。
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もっさり終わる。